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2007.05.04 (Fri)

桜庭一樹 「少女七竈と七人の可愛そうな大人」

少女七竈と七人の可愛そうな大人 少女七竈と七人の可愛そうな大人
桜庭 一樹 (2006/07)
角川書店

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【内容】
わたし、川村七竈十七歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった・・。鉄道を愛し、孤高に生きる七竈。淫乱な母は、すぐに新しい恋におちて旅に出る。親友の雪風との静かで完成された世界。だが可愛そうな大人たちの騒ぎはだんだんと七竈を巻き込んで・・・。 (Amazonより)


北海道旭川。冬は真っ白な雪が埋め尽くす世界・・・。
ひとりのとても平凡で白っぽい丸のような女性、優奈。
彼女は別の人間になるために、自分を変えるために、7人の男性と関係を持ちます。ある男性の、七竈の木はとても燃えにくく、七回も竈に入れても燃え残ることがあり、そうやって造られた七竈の炭は大変上質なものだという言葉に、自分も上質な炭になれる気がして―。

そうして、そんな母から生まれて来たのがのが七竈。
類稀なる美貌に生まれついてしまった彼女と、彼女のたったひとりの親友であり、同じく美しい「かんばせ」を持つ雪風と、二人を取り巻く狭い狭い世界の中にいる大人たちの物語です。

とても禍々しくも甘美な雰囲気が全編を漂っています。

母が奔放であるという環境と、その美しさから友達のいなかった七竈の唯一の友人が、これまた恐ろしいほどの美少年の雪風。常に一番近しい存在であった二人なのですが、成長とともにその「かんばせ」がこれ以上一緒にいられないほど酷似してきます。二人ともそれに心の奥では気づきながらも、認めたくない、信じたくない、そして何より「離れたくない」―― そんな強い想いが行間からひしひしと伝わってきてとても切ないです。事実から目を逸らして傍に居続けようと努力する二人。強いようでいて踏みしめられる雪のように弱いんですよね。

二人をそっとしておいてあげてほしい・・・・でも周りにいる大人たちがそうは許してくれません。二人で創りあげた脆くて美しい世界がずっと続くことはなかったのです。
でもそれによって二人は成長します。今まで浸っていた世界以外にも広い世界が自分にも待っていることを知ります。

周りにいた「可愛そうな」大人たちも、苦しんだり悩んだり恨んだりしながらも、頑張って生きていて・・・。

そして、不思議なことに、あんなにちくちくと胸が痛むように切なかった鬼、いざ読み終えてみると切なさと共に不思議と前向きに生きていこうとする力が湧いてきたんです。不思議で素敵な作品でした。

大人たちは「可哀相」ではなく「可愛そう」なんですよね。淡々と全てを受け入れて成長していく七竈と雪風に比べて、許せないことや縛られることに苦悩しつつも生きてる大人が何だか可愛くもありました。

おまけで、というか実はかなり重要なのが後輩のみすずちゃん。ごくごく普通の彼女のおかげで、七竈たちも随分助けられた気がします。

母を許さないことが七竈の純情・・・・でも、母がおかしくなってしまった理由、最後に明かされたそれが、すこぉし彼女を許せる気がします。

七竈の花と同じ白いマフラーを巻く七竈。
七竈の実と同じ赤いマフラーを巻く雪風。

この情景が今も瞳の奥に焼き付いたままです。

お気に入り度:★★★★☆

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【編集】 |  13:23 |  桜庭一樹  | トラックバック(1) | コメント(2) | Top↑

コメント

こんばんは。
七竈と雪風の切ない思い。
七竈の成長と喪失の哀しみ、母娘の確執が伝わってきました。
そして鮮やかな旅立ちが印象的でしたね。
このタイトル、「可哀相」ではなく「可愛そう」にしたこだわりに
桜庭さんの大人への視点がうかがえるみたいでした。
桜庭さん、お気に召しましたら、「赤朽葉家の伝説」もぜひ。
恩田さんの「朝日のようにさわやかに」の記事もありますよ〜(笑)。
藍色 |  2007.06.24(日) 01:33 | URL | 【編集】
●>藍色さんへ
こんにちは〜。
コメント&TB有難うございます。
「可哀相」ではなく「可愛そう」であるところが絶妙ですよね〜!
未だに何だかこの本の世界の情景がふっと浮かぶことがあり
本当に印象深い作品だったと思います。
「赤朽葉家の伝説」・・・何だかタイトルからしてまた惹かれます!
Spica |  2007.06.29(金) 20:16 | URL | 【編集】
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少女七竈と七人の可愛そうな大人 桜庭一樹
カバーイラストは、さやか。ブックデザインは鈴木成一デザイン室。野性時代2005年12月号から2006年5月号までの連載を加筆訂正書籍化。母、川村優奈が二十五歳で、ある日“辻斬りのように男遊びがしたい
2007/06/24(日) 01:34:20 | 粋な提案
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