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「灯台へ/サルガッソーの広い海」 ヴァージニア・ウルフ、ジーン・リース

2009.09.04 *Fri
灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1)灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1)
(2009/01/17)
ヴァージニア・ウルフジーン・リース

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内容(「BOOK」データベースより)
灯台を望む小島の別荘を舞台に、哲学者の一家とその客人たちの内面のドラマを、詩情豊かな旋律で描き出す。精神を病みながらも、幼い夏の日々の記憶、なつかしい父母にひととき思いを寄せて書き上げた、このうえなく美しい傑作。新訳決定版(『灯台へ』)。奴隷制廃止後の英領ジャマイカ。土地の黒人たちから「白いゴキブリ」と蔑まれるアントワネットは、イギリスから来た若者と結婚する。しかし、異なる文化に心を引き裂かれ、やがて精神の安定を失っていく。植民地に生きる人間の生の葛藤を浮き彫りにした愛と狂気の物語(『サルガッソーの広い海』)。



「灯台へ」ヴァージニア・ウルフ

心打たれました。
小説でありながら人生の哲学書のようであり、幾年にも渡って描き継がれた一枚の絵画を観ているようでもありました。どのページをめくっても美しかったです。めまぐるしく視点が変わる様は女性作家ならではなんでしょうね。(最初は戸惑うほどでした)

灯台近くの美しい地にのある館に集まる様々の人々の心模様。絡み合う人間関係。美しいラムジー夫人、こどもたち、哲学者の夫、未婚の男女に学生さん、お年寄りまで様々な人たちが集まっています。
物語というよりも、人の心の中をつぎからつぎに投げつけてられます。「意識の流れ文学」と評されるとのことで、とても的を得ていると思いました。まるで、読んでいる自分が透明人間のテレパスになって、その場のいろんな人の意識を覗き見ている気分を味わいました。

ラムジー夫人が社交的なのに対して夫ラムジーは厳格で利己的、雰囲気を読まないため知らず知らず息子や妻をイラっとさせたりします。全く合わなそうな二人がそれぞれ心の中で思っていることが、口には出さずとも自然と伝わり調和していたりするところが夫婦ならでは面白かったです。

物語は三部構成になっており、第一部は様々な人々がそれぞれ内に様々な想いを秘めているのだけど、総じて穏やかな、数年後に振り返れば幸せだった、と思える日常が描かれています。

第二部で、数年の時が経ます。そしてラムジー夫人が急逝。夫人の子供も亡くなるなど様々な変化が時の川を流れるように描かれています。

そして第三部。第一部の穏やかだった日々から数年後。久しぶりにラムジー、キャム(娘)、ジェイムス(息子)、リリー(未婚の女性画家)などが館を訪れます。

常に夫人を観察し、心の中で批判していた女性画家のリリー。ラムジー夫人がいなくなって数年たった今も夫人の陰にとりつかれています。尋常ではないほどに。彼女はおそらくラムジー夫人に無意識の愛情を持っていたのではないでしょうか。それが三部になり徐々に明確になっていくのがちょっと怖くも美しい。実はリリーの物語だったのだと気づきました。

内面を描いているのにとても視覚的な作品であり美しく、ふと開いたページのどこを読んでも新しい発見や充実感が得られる作品でした。

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「サルガッソーの広い海」 ジーン・リース

ブロンテの名作「ジェーン・エア」にでてくるロチェスター氏の妻、バーサの物語。
「ジェーン・エア」では西インド出身の狂気にとりつかれた妻として、屋敷に幽閉されていましたよね。
西インド諸島出身だった著者リースはヒロイン、ジェーンではなくバーサに感情移入し、この物語が生まれたそうです。西インド諸島出身の著者の思いがバーサに重なります。

ロチェスターとバーサはお金のための結婚だったが、彼女は彼を愛した。彼も異国にとまどいながら美しい妻を愛そうとはした。が、密告の手紙が届き、彼女のことを疑い信じられなくなったすえに、彼は浮気。ここでバーサの中で決定的に何かが壊れてしまった・・・。そして・・・。

バーサもロチェスターも若すぎたのですね。違った出会い方をすれば幸せになれた二人だったのかもしれません。

ジェ-ン・エアとは全く雰囲気が異なります。もちろん作者が違うのですから当たり前なのですが、ここまで全く違った質のものに仕上げながらも、ジェーン・エアから離れてしまうことなく、読者にもう一度ジェーン・エアを読んでみたくさせる、違った視点からもう一度ジェインエアに取り組んでみたくさせられる、そんな作品でした。

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素晴らしい一冊でした。
両作品とも女性作家ならではの筆致を堪能しました。

お気に入り度:★★★★★ (2009年8月14日読了)

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