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初野晴 「初恋ソムリエ」

2010.01.29 *Fri
初恋ソムリエ初恋ソムリエ
(2009/10/02)
初野 晴

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「退出ゲーム」の続編です。待っていました!

弱小吹奏楽部に所属するハルタと千夏。
二人は一見いいコンビに見えるけど実はライバル。何のライバルってそれはもちろん「恋」!

というわけで今回もこの二人を中心に身近で起こった事件を解決していきます。
前回よりもおもしろさパワーアップ!ますますおもしろくなっていますね。

読んでる最中は千夏やハルタたちのやりとりがおかしくて声を出して笑っちゃうくらいなのに最後の最後でいつも胸に痛みが走ります。
今回は特に「アスモデウスの視線」と「初恋ソムリエ」の謎解きの裏に隠された真実にやられました。
各篇冒頭での「誰かの」独白。事件が解決したときにこの「独白」の意味するところがわかり、「すとん」と心の中に落ちてきて切なさが増しますね。


『スプリングラフィ』ではまたひとり癖のある登場人物が増えます。
なんと彼女はたぐいまれなクラリネット奏者なのにアンチ吹奏楽部なんです。
更に彼女は音楽家として大きな局面に立たされていて・・・。
音楽という好きな場も、プロを目指すとなると一転して戦場となる。
しかもたった一人でそれに立ち向かわなければならないんですね。
でもそんな彼女が千夏たちと触れ合うことによって心が少し軽くなっていく、そんな成長を見てみたいです。

『周波数は77.4MHz』では秘密のラジオ局の人生相談に、同級生が恋のライバルなんだけど、自分は社会学的にも不利だから、ライバルを引き離すためにちょっと汚い手に出たことを懺悔するリスナーが(笑)
このラジオ局、どこから誰が発信しているのか不明なんです。一方、吹奏楽部では部活の部費を手に入れるため、千夏たちは地学研究会の部長を追うはめに・・・。
高額な部費の支給を学校からあてがわれている地学研究室の裏に隠されたある秘密とは?
隠された真実の題材は重いのですが、救いの光があるから温かい一篇でした。


『アスモデウスの視線』
初のコンクールに向けて気合いの入る千夏たち。しかしいきなりつまずいてしまう事態が。
なんと愛しの草壁先生(吹奏楽部顧問、千夏&ハルタの恋のお相手)が過労で倒れて入院してしまったのだ!
実はライバル校の吹奏楽部の顧問の先生が謹慎処分となったため、ヘルプ要請を受け顧問の掛け持ちをしていたのです。考えられる要因のひとつが席替え。堺先生のクラスではこの一月で3回もの席替えが行われたという。いったいなぜ?

一ヶ月に席替えが3回。しかもその席替えの方法がとても奇妙。
いったい何でその必要があったのかをさぐるのは、いかにも謎ときっぽくて面白かったです。
真相が明らかになったとき、そこには本当に深い生徒を思いやる愛情に溢れていて、涙が出てきました。

『初恋ソムリエ』、これは四十年前にあった騙しあいの話であり、叶うことの無かった初恋の物語。
クラリネットの芹澤さん。卒業後はいろいろと確執のある家を出て、オーストラリアで暮らす伯母と日本で一緒に暮らすことに。その伯母が下見のためにやってきたのだが、なんと興信所に初恋の相手を探してほしいと依頼していた。その興信所の息子が初恋ソムリエの朝霧亨。
四十年たった今になって、なぜ伯母は初恋の人を捜そうとしているのか。いったい二人の恋はどんなものだったのか。

初恋研究会代表であり初恋ソムリエとなのる朝霧亨が登場するのですが、そもそも初恋ソムリエっていったい何?
思い出の味に隠された彼の思い、名前に込められた真実をしったとき、とても胸が切なく痛みました。
もうあの頃には戻れないけれど、真実を知ることができてきっと良かったに違いないと思いました。

冒頭での語りが今回は千夏なのですが、ハルタと交わす「ホタル」の話がとても美しく悲しくて心に残りました。

++++++++++++++++++

前半二篇は新たな仲間を迎えるための助走的な感じでさらりっと読めましたが、それに対して後半二篇は謎解きも深みがありましたし、隠されていた真実の重厚さがぐぐっと来ました。
キャラクターたちにすっかり愛着もわき、はやくも続きが読みたくなってしまいました。
次はもしかして3年生?
楽しみです。

お気に入り度:★★★★★
(2010年1月26日読了)

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初野晴 「退出ゲーム」

2010.01.28 *Thu
退出ゲーム退出ゲーム
(2008/10/30)
初野 晴

商品詳細を見る

【内容】
チカは高校一年生、部員12名の弱小吹奏楽部に在籍。ハルタはチカの幼なじみ、まるで女の子のように整った顔立ちで、同じく吹奏楽部員。二人揃って、顧問の音楽教師・草薙先生(男)が初恋の人なのだが……。(Amazonより)



四編からなる連作短編集。
まったくタイトルからは内容の想像がつきませんでした。
米澤穂信の「古典部シリーズ」のような、高校を舞台に生徒や先生が日常に潜む小さな謎を解いていくお話です。

千夏とハルタは高校一年生。

元気いっぱいのハリキリガール、千夏。
小柄な美少年、上条春太(ハルタ)。

この二人をメインに話は進みます。

二人はいずれ恋に落ちちゃうの?
いえいえ、だって二人は恋のライバルなんです。しかも相手は・・・ね(笑)!

そんな千夏とハルタの恋のライバル争いにぶふふっと笑いながらも、謎が解ける度に胸が熱くなりした。
特に「エレファンツ・ブレス」は格別でした。「象の寝息」という色の名前だけが残り色見本が存在しない謎の色。その色に込められた長きに渡る悲しく辛い記憶・・・。大切な人を救うためには人は強くなれるんだな、と思いました。

一方、「退出ゲーム」では最高に笑いました。ガチャピン最高です。

読み進めば進むほど彼らと一緒にいたくなる一冊でした。
続編楽しみです。

お気に入り度:★★★★☆   (2009年3月30日読了)

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