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高楼方子 『十一月の扉 』

2010.06.11 *Fri
十一月の扉 (新潮文庫)十一月の扉 (新潮文庫)
(2006/10)
高楼 方子

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中学二年生の爽子。
ある日双眼鏡で素敵な白い家を見つけて自転車を漕いでそっと訪れます。
爽子の心の中に眠っている何かを呼び覚ましてくれるような素敵な一軒の洋館。
急に東京へと転校することになった爽子は、その家に下宿したいと親に申し出ます。
そして2ヶ月間、爽子は家族と離れて十一月荘と名付けられたそのお屋敷ですごすことになるのです!

オーナーの閑さん、建築士の苑子さん、馥子さんとその娘さんで小学生のるみちゃん、閑さんに英語を習いにやってくる謎の少年、耿介。素敵な文房具屋さんに、賑やか過ぎるお隣のマダム、美味しいジャムにパンケーキ!

そして素敵な一冊のノートとの出会い。ドードー鳥が飾られたそのノートに、爽子は十一月荘の住人達を動物になぞらえて、ドードー森の物語を紡ぎはじめます。

転校を前に不安でとげとげしていた爽子の心を、十一月荘での穏やかな暮らしがゆっくりと甘いはちみつのように溶かしていきます。
ドードー鳥の物語がどんどん創り出されてノートが満たされていくのと同時に、爽子の気持ちも満たされていくのです。
素敵な楽しい物語はちょっと見方を変えればそこにもここにも転がっている。
普段、私たちはバタバタしていて見逃してしまうけれど、十一月荘の暮らしが爽子にそれを見つける術を自然と教えてくれたのですね。

感じ悪い!と思いつつも惹かれていく耿介への淡い想い。
将来への不安、離れたくない、東京へなんか行きたくない、お母さんなんか嫌い、様々な思いを抱えた爽子でしたが、十一月荘の人たちと話すことで、未来へ向かう勇気、生きることの楽しさ、様々なことを見て吸収し、そして成長していきます。
たった二か月の生活が少女を大きく変えていきます。

ラストの潔さも良かったです。

その後の爽子が気になっていた私。
文庫版のあとがきの「耿介からの手紙」。
高楼方子さんの大学生時代の作品を読んだ斎藤惇夫さんがお書きになっています。
三十年後の耿介からという設定です。こちらもとても良かったです。

温かく懐かしい気持ちと同時にとても切なく胸に響く作品でした。
この気持ちを忘れないよう、ときどき手にとって読みたい一冊です。

お気に入り度:★★★★☆ (2010年4月28日読了)

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天童荒太 「悼む人」

2010.03.19 *Fri
悼む人悼む人
(2008/11/27)
天童 荒太

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天童さんの作品を読み始めるにはかなりの気合が必要。
でも読み始めると止まらないです。

人が亡くなった場所を訪れ、ただ「悼む」青年。
彼は何故悼む旅を続けているのか。何のために。誰のために。

亡くなった人がどんな人であれ、その人たちが誰に愛され、誰を愛し、どのように感謝されてきたかを心に刻み忘れないようにする。
ただそれだけなんです。
それを鬱陶しく感じる遺族もいる。しかし、彼が覚えていてくれることを感謝する人もいる。
どんな悲しい死でも、孤独な死でも、たとえ愛する家族に見送られた死でも、人はどんどんその死を忘れていく。
彼はただそれを忘れずに覚えているだけ。それが彼の悼み方。

そんな彼の生い立ちや思い、彼に偶然出会った人たちの変化を細やかに描いていきます。

人間の醜さに焦点をあてた記事を得意とする記者。
夫を殺して服役していた妻。
病に侵されている悼む人の母親。

この三人の視点で物語は語られていきます。

「悼む」ことが何になるかなんて、彼自身もわからないんです。
自分にとってそれがどういうことなのか、それを知るためにも彼は「悼む」ことを続けていきます。
最初はそんな彼の行動に、読んでいる私自身も戸惑いました。
でも読んでいるうちに彼と一緒に考え、悩み、いつしか彼を応援している自分がいたりして。

彼の母親の人生を生ききる強さが美しかったです。
記者・蒔野の父親のエピソードにも涙が止まりませんでした。

彼の旅が必要かどうかなんて、実際に「死」と直面しないと分からないんですよね。
とても難しい題材でした。
死と向かい合うことは同時に生きるということにも向かい合っている。
死を通して愛を知る物語でした。

お気に入り度:★★★★☆ (2010年2月10日読了)

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