This Category : 桜庭一樹

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桜庭一樹 「赤朽葉家の伝説」

2007.12.20 *Thu
赤朽葉家の伝説赤朽葉家の伝説
(2006/12/28)
桜庭 一樹

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【内容】
「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。(Amazonより)




山の奥にすむ「辺境の人」に置き去られた赤ん坊、のちの赤朽葉家の千里眼奥様として皆に畏れられもしまた慕われもする赤朽葉万葉。物語の語り部はこの万葉を祖母に持つ赤朽葉瞳子。そしてこの瞳子の母が万葉の娘、毛毬。山の上にそびえる大屋敷に暮らす赤朽葉家の繁栄と衰退を、赤朽葉家の女三代に渡り、それぞれを中心に三部構成で成り立っています。

見た目も皆とは違うことからいろいろと辛い想いを抱えていた万葉。でもその心はいつもまっすぐで痛いくらい誠実で、だからこそ彼女には未来が視えてしまったのかもしれません。良い未来なら、もしくは変えられる未来なら視えても構わないかもしれない。でも視なくていい未来、視てしまった事により生きていくのが辛くなる未来まで視えてしまった万葉。その未来を抱えて、それでも強く生き抜いた彼女の強さには圧倒されました。

第二部は彼女の娘である破天荒な毛毬が中心に、第三部は毛毬の娘でごくごく普通の現代っ子、瞳子が中心。とはいえ全編を通して千里眼奥様である万葉の生き様が ―― 何ひとつ己の意思ではなく、風が運んできたような不思議で過酷な運命に、ただ流されているようでいて実はその運命を自分で選んでしっかり足で踏みしめながら強く生きていった ―― そんな彼女の生き様が彼女の子孫たちにもしっかり流れているのがわかります。

ミステリーではありません。日本の、昭和から平成の、女性達の物語でした。
静かに、とても静かにですが、彼女達はしっかり自分の道を進むために闘い続けていたように思います。

万葉が、10歳のころに「視た」 一つ目の空飛ぶ男。
最後に瞳子がたどり着いた真実に胸が切なくなりました。

本を読んでるのに、まるで映画のように、目の前に万葉たちの世界が視えるような気がしました。今も目を閉じるとふわっとその世界が浮かんできます。いい作品でした。


ところで、サンカという言葉・・・この本を読むまで知りませんでした。
まだまだ日本の伝承にも謎がいっぱい残っていそうで興味を惹かれました。


お気に入り度:★★★★☆

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桜庭一樹 「青年のための読書クラブ」

2007.10.29 *Mon
青年のための読書クラブ青年のための読書クラブ
(2007/06)
桜庭 一樹

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【内容】
東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の〈クラブ誌〉があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が、名もない女生徒たちによって脈々と記録され続けていた――。今もっとも注目の奇才が放つ、史上最強にアヴァンギャルドな“桜の園”の100年間。 (Amazonより)


青年といいつつページを開いてみるとそこは麗しの女子校が舞台です。しかも良家の子女が集まる山の手のお嬢様学校。そこで繰り広げられる年代の異なる5つの物語。

1969年、ドブ臭い異臭をはなちながらも長身でブロンズ像のような美しいかんばせを持ったある転入生が入ってきたところから物語は始まります。自分達とは違う貧乏臭いニオイから行き場をなくした気弱な彼女が唯一辿り着いた先は異形のものが集まる「読書クラブ」だったのです。その長身の少女、烏丸紅子をその学園の「王子」にしたてあげ学園を支配するという目的のために読書倶楽部の部長アザミが動き出します。

のっけからぐいぐいその甘美で毒のある世界に引き込まれてしまいました。シラノドベルジュラックのごとく、容貌が醜いために陰で紅子を操り貴公子に仕立てあげていくアザミの胸の奥底に潜む女としての悔しさや刹那さなども折り込みつつ、シニカルな笑いを誘う結末が待っていて・・・。

読書クラブ誌に記された出来事を読み進める構成になっていて面白いです。第二章では舞台は1919年のパリへ・・・。ここで聖マリアナ学園の生みの親であるマリアナの数奇な人生が語られます。

第三章では1989年に読書クラブに突然やってきた3人の亡命者にまつわる騒動を、第四章では2009年の読書クラブ出身のロックスター少女事件がクラブ誌に綴られています。

そして最後の第五章は2019年が舞台。聖マリアナ学園誕生から100年。マリアナは昔、この100年目にあることが起こると占い師に予言されていたのですが、とうとうその年を迎えます。その年、読書クラブの部員はたった一人。悲惨にも老朽化激しい部室をも追い出され・・・・。また、学園には正体のわからない救世主である「ブーゲンビリアの君」旋風が巻き起こります。

物語は100年にもわたるものとなっているのですが、読み終わったときにはそれらが「読書クラブ」を通じて結びつき、一人の女性、聖マリアナの謎に満ちた人生の終わりと共に戻らない青春の切なさが胸に染み渡り、こんな癖のある作品世界なのに意外にも爽やかなものさえ感じました。毒があるというかユーモアというか、皮肉というか愛らしいというか、下北の劇場で観る舞台の世界が広がっているような何とも魅力的な世界ですね。

お気に入り度:★★★★☆

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桜庭一樹 「少女七竈と七人の可愛そうな大人」

2007.05.04 *Fri
少女七竈と七人の可愛そうな大人少女七竈と七人の可愛そうな大人
(2006/07)
桜庭 一樹

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【内容】
わたし、川村七竈十七歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった・・。鉄道を愛し、孤高に生きる七竈。淫乱な母は、すぐに新しい恋におちて旅に出る。親友の雪風との静かで完成された世界。だが可愛そうな大人たちの騒ぎはだんだんと七竈を巻き込んで・・・。 (Amazonより)


北海道旭川。冬は真っ白な雪が埋め尽くす世界・・・。
ひとりのとても平凡で白っぽい丸のような女性、優奈。
彼女は別の人間になるために、自分を変えるために、7人の男性と関係を持ちます。ある男性の、七竈の木はとても燃えにくく、七回も竈に入れても燃え残ることがあり、そうやって造られた七竈の炭は大変上質なものだという言葉に、自分も上質な炭になれる気がして―。

そうして、そんな母から生まれて来たのがのが七竈。
類稀なる美貌に生まれついてしまった彼女と、彼女のたったひとりの親友であり、同じく美しい「かんばせ」を持つ雪風と、二人を取り巻く狭い狭い世界の中にいる大人たちの物語です。

とても禍々しくも甘美な雰囲気が全編を漂っています。

母が奔放であるという環境と、その美しさから友達のいなかった七竈の唯一の友人が、これまた恐ろしいほどの美少年の雪風。常に一番近しい存在であった二人なのですが、成長とともにその「かんばせ」がこれ以上一緒にいられないほど酷似してきます。二人ともそれに心の奥では気づきながらも、認めたくない、信じたくない、そして何より「離れたくない」―― そんな強い想いが行間からひしひしと伝わってきてとても切ないです。事実から目を逸らして傍に居続けようと努力する二人。強いようでいて踏みしめられる雪のように弱いんですよね。

二人をそっとしておいてあげてほしい・・・・でも周りにいる大人たちがそうは許してくれません。二人で創りあげた脆くて美しい世界がずっと続くことはなかったのです。
でもそれによって二人は成長します。今まで浸っていた世界以外にも広い世界が自分にも待っていることを知ります。

周りにいた「可愛そうな」大人たちも、苦しんだり悩んだり恨んだりしながらも、頑張って生きていて・・・。

そして、不思議なことに、あんなにちくちくと胸が痛むように切なかったのに、いざ読み終えてみると切なさと共に不思議と前向きに生きていこうとする力が湧いてきたんです。不思議で素敵な作品でした。

大人たちは「可哀相」ではなく「可愛そう」なんですよね。淡々と全てを受け入れて成長していく七竈と雪風に比べて、許せないことや縛られることに苦悩しつつも生きてる大人が何だか可愛くもありました。

おまけで、というか実はかなり重要なのが後輩のみすずちゃん。ごくごく普通の彼女のおかげで、七竈たちも随分助けられた気がします。

母を許さないことが七竈の純情・・・・でも、母がおかしくなってしまった理由、最後に明かされたそれが、すこぉし彼女を許せる気がします。

七竈の花と同じ白いマフラーを巻く七竈。
七竈の実と同じ赤いマフラーを巻く雪風。

この情景が今も瞳の奥に焼き付いたままです。

お気に入り度:★★★★☆

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